【第14次応募作品】
あなたはどうしようもない人間でした
それでも僕に譲った使い古しのクレヨンは
寂しい僕の一番の味方でした
〈ゆうた・京都府・22才・男性〉からの投稿
祖父が亡くなった。\r\n祖父は昔から酒癖が悪く、怠惰で、どうしようもない人間でした。\r\n家族内からも蔑まれるような存在でした。\r\nそんなある時、相変わらず飲んだくれた祖父がいつも退屈で孤独な僕を見て、\r\nそっと無言で使い古したボロボロのクレヨンを渡したのです。\r\n間違いなく、無言でした。\r\nたどたどしく歩いて自室に戻るその後ろ姿は、いつも通り頼りなげでしたが、\r\nそのよわよわしい姿と、祖父の隠れた思いやりと、朽ちかけたクレヨンは、\r\n亡くなった今、僕のなかでどんどん大きくなるようです。
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