【第13次応募作品】
あなたが遺した香袋と
同じ匂いをようやっと
見つけて灯せた線香のけむ
〈睦孝・兵庫県・38才・女性〉からの投稿
いつも身綺麗な祖父の匂いが大好きでした。\r\nある時、お仏壇の抽出しから小さな香袋を出してくれました。\r\nわたしが生まれるより前に亡くなった祖母の袂にあったもの。\r\n祖父の匂いはその香袋と整髪料の混ざったものだったのです。\r\nあれから幾度も引越しをしていつの間にか無くしてしまった香袋。\r\n墓参りの売店でふと思い出したあの香り。\r\nわたしの鼻が覚えていました。
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