やさしい時間~こころの携帯電話ひろば~

グリーフケアへの誘い


制作協力 ソナエ
別れの悲しみに寄り添い、そなえるための学びの章

グリーフの症状

 精神的、身体的な反応であるグリーフ。悲しみで涙を流すだけが、その症状ではありません。ほかにも様々な症状があります。

 死別の直後には、まさに「頭が真っ白」な状態で何も考えられず、死別後の数時間、ときには数日間の記憶がぼんやりとしていることがあります。亡くなった事実を認めない「否認」という状態が起こる場合もあります。特に、天災や事故で遺体を直接確認できない場合などに出やすいといわれます。

グリーフの症状 「怒り」はよくある症状です。やり場のない怒りを医療関係者や周囲の人たちに向けてしまう。時には、何もできなかった自分自身に対してや、自分を遺していった故人に矛先が向かいます。自身への怒りは「あのときこうしておけばよかった」「もっとやさしくすれば」といった後悔や罪悪感と一体化していることがあります。

 また、無気力になってしまい、生活のリズムをとることができず、不眠や食欲不振、身なりに無頓着といった症状が出ることがあります。故人の声が聞こえたり、姿を見たりしたように感じる「幻覚」症状に襲われることもあります。

 危険な反応としては、配偶者の死後、まるで後を追うかのように亡くなってしまうケースです。強いストレスによって引き起こされる心筋症は、「ブロークンハート症候群」ともいわれます。まさに「胸つぶれる思い」です。配偶者の死後にはうつ病など精神疾患になりやすいとされ、配偶者がいる場合と比べて自殺率が高くなるという調査結果があります。なお、妻を亡くした男性のほうが、夫を亡くした女性よりも死亡率が上がると報告されています。

 逆に「明るい」反応が出ることもあります。長い闘病生活の末に亡くなった場合など、一種の安堵感や解放感を感じるのです。そのことに対して罪悪感を抱くこともありますが、新たな人生の始まりへと、早い立ち直りにつながる場合もあります。ただ、時には周囲が意外と感じるほど明るかったり、元気そうにみえたりする人がいます。もしかすると、あまりのショックに現実を受け止めることができず、悲しみを心の奥に押し込めてしまっている可能性があります。時には、医師ら専門職による援助が必要なこともあります。

 亡くなった人との関係性や年齢、死因、宗教観などから、グリーフの症状はまさに人それぞれです。期間も一定しているわけではありません。くれぐれも「これが正しいグリーフの症状だ」などとは考えないでください。

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